DQ ダイの大冒険 33巻

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』 原作:三条陸 漫画:稲田浩司 監修:堀井雄二
ダイジェスト 第33巻 『影と死神(キル)の巻』

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★私が最強だ!!!の巻
そこに佇むのは静かに目を閉じた細面の青年。黒い額飾りの禍々しさを除けばあまりに普通……
大魔王の側近ミストバーンの意外な素顔に驚くクロコダイン チウ ビーストくん(ブロキーナ老師) ヒュンケル マァム ラーハルト ポップ ヒム。 その中でミストバーンの元弟子ヒュンケルだけは奇妙な既視感を覚えていた。
しかし、そのミストバーンが放つ嘗圧で、全員が壁に叩きつけられる。ヒムすらもが気圧されるその強さ。
「…いいぞ せいぜい恐怖しろ……私も怖い!」ミストバーンの言葉に挑発され繰り出したヒムの闘気掌(オーラナックル)はあっさり止められ、 『バギャン』異音と共にオリハルコンの腕が無造作にへし折られた。
 一方、壁もろとも大魔王バーンをW(ダブル)ドルオーラで吹き飛ばした勇者ダイはレオナ姫のベホマを受けていた。 回復次第、白い宮庭(ホワイトガーデン)で戦うポップたちと合流しようと焦るものの、 暗黒闘気に近い竜闘気(ドラゴニックオーラ)の影響で回復呪文を受け付けず、頼りは自然回復のみ。
大魔王は倒れた。ミストバーンがバーンより強いなんて事は無い。ヘロヘロで加勢に行っても皆が困ると説得するレオナ。 しかし、雲間から漏れる傾きかけた陽光を見ながらダイはイヤな予感に動悸を高鳴らせていた。
白い宮庭での戦いは続く。
ラーハルトがもぎ取られたヒムの腕で殴りかかったが、砕けたのは地上最硬度のオリハルコンの方。 ミストバーンの拳がラーハルトの腹を捕らえ、天井近くにまで殴り飛ばす。ラーハルトとヒムの強さを認めながらミストバーンは言い放った。
「これこそ魔界最強の男の姿だからな!」驚く一同に、バーン様は偉大なるお方…その叡智と魔法力において並ぶ者はいない。 しかし肉体の強さにおいては
「………そう…私はバーン様より強い…!!」私が魔王軍最強なのだ!!!
バーンより強い? てめぇが魔王軍の本当の大ボスだとでも? そう問うポップに最初の問いはおまえの言う通りだ! と答えるミストバーン。 それに反論できる者はいない。ミストバーンの人智を超えた強さを前に全員の視線がポップに集中する。
メドローア(極大消滅呪文)…!!!
皆の期待に冷や汗を噴出させるポップに、腕を回復しろとヒムがささやく。羽交い絞めぐらいには持ち込んでやるから、かまわず一発ブッ放せ!!
★不死身の秘密!!!の巻
強敵ミストバーンに対峙する8人の戦士。
スパークにも似た回復術の光に包まれ、ヒムの腕が再生する。いくら金属生命体とかでも犠牲に出来るかと言うポップにヒムは、 つまらん躊躇をしているとホレた女ともども地獄行きだぞ!! と笑う。真っ赤になって騒ぐ見てりゃモロバレポップの口を(ホレた女)マァムが塞ぐ。
「いくぜェ!! 第2R(ラウンド)!!!」
ヒムとラーハルトの同時攻撃が当たらない!? いや、決まっているが効かない… こうなったら、と、背後からミストバーンの首をアームロックしたヒムの腕が力づくで引き剥がされ、肘鉄を食らったヒムはポップの横の壁に叩きつけられる。
「お…お早いお帰りで…」ポップの憎まれ口も弱々しい。
ラーハルトに掌圧を向けたミストバーンをクロコダインの獣王激裂掌が襲う。しかし足止めすら適わず、手刀一閃切り裂かれる獣王激裂掌。 クロコダインが壁に叩きつけられて飛び散る破片から、空手ねずみチウが重傷のヒュンケルを守る。
メドローアを作る時間すら稼げない中、
「……きれいな顔…」とマァムが(昔っから二枚目に弱えェんだ、この女は…! ←ポップのやっかみ)傷一つ無いミストバーンの顔に不審を抱いた。閃華裂光拳が入ったのに? それを聞いた老師…いやビーストくんは謎が解けた気がする……無敵と不死身は全く違う 生命活動を異常促進させる裂光拳が痕跡すら残さないのは
「つまり答えはひとつだ あの男の肉体は生きてはいない…! 生命活動を行ってはいないのだ!!」
くるぶしつやつや病(?)に冒されて長時間戦えないとしながらもビーストくんはメドローアのチャンスを作ると宣言してミストバーンの前に立つ。
「……おまえの不死身の秘密…それはおそらく………凍れる時間(とき)の秘法…!!!」はじめて動揺するミストバーンの「…貴様ッ…! 何者だ!!?」との問いに、 獣王遊撃隊No12のバッジをつけ、シーツをかぶった裸足の格闘家は胸を張って答えた。
「………ビーストくん!!!」
★凍れる時間…!の巻
ふらふらとミストバーンに近づく老師が、不意に闘気をまとった!!
ミストバーンの掌圧をふわりとジャンプでかわし、懐に飛び込むと、 敵の攻撃を水か羽毛の動きで避けながらベコッ、ベキッ、と確実にヒットする妙技。
その見事さに見惚れていたポップはマァムに促され、メドローアの準備にはいるが、両手にヒャドをを出し、鼻水まで出すガチガチぶり。 今までダイやヒュンケルが背負ってきた最後の期待が己にかかってきた、そのプレッシャーにオタつくポップを、バカね、それだけ強くなったって事でしょ!!  レベルアップしてきた力を使わなくてどうするのよッ!! とマァムがどやしつけた時、
「うわああああっ!!!!」チウが叫ぶ。
老師に直撃するミストバーンの拳。「………ダメだっ!! 死んだ!!」
しかし枯れ木のようなボディは風に舞う木の葉の如く、攻撃は吸収され受け流した老師はふわりと着地した。 しかも、受けた拳の冷たさを10数年前の魔王ハドラーの時と同じだと言う老師。驚くポップに、昔アバンと共に一度だけ魔王と戦った事があると告白し 「その時……アバンどのが ただの一度だけ使った伝説の大呪法……それこそが…!! 凍れる時間の秘法!!!!

17年前
オープンカフェと言うには無骨な、木陰の野外食堂で“凍れる時間の秘法”について語らうパーティがいた。
勇者アバン 戦士ロカ 僧侶レイラ。
魔王ハドラーに挑もうとする彼らの希望は学者の家系で頭の中身には一目おかれるアバンが、 古文書を頼りに研究を重ねたかの秘呪法。 時間が凍る。すなわち相手の時間そのものを停止させ、アストロンのようにいかなる衝撃も受け付けなければ身動きも出来なくする。 生命活動も停止させ相手を永続的に封じる呪文。ただしチャンスは数百年に一度と言われる皆既日食の今日だけ…!!  しかし
「じゃあ、一発気合入れていくかぁ!!!」と張り切るロカに2人を巻き込めないとパーティ一時解散を告げるアバン。 確実に魔王には効く。しかし余波を防ぎきれるか自信がない。最悪の場合アバンも凍れる時間に……
「今回は私にまかせておいて下さい…!」バカヤローッ!!!! なに一人でカッコつけてやがんだと、始まるケンカ。
「……あらあらこりゃあケンカですかなぁ…」と樹上から眺める老師に 「ケンカはいつもの事だが……今回ばかりはちょいと荒れそうだ…!」と答えるマトリフの頭上には青空と今は何事もなく輝く太陽があった。


★大いなる先駆者たちの巻
お前だけを犠牲に勝つなんてごめんだ、とアバンを締め上げるロカ。 しかし
「ニブイですよねえ あなたも…」愛する女性の事ぐらい気づかってあげなくては…との言葉に真っ赤になるロカとレイラ。 照れ隠しに、こんな女本気で好きになったわけじゃあ、と痴話げんかが勃発。本気じゃないなら遊びかと問われてしどろもどろ。
「いけませんねえ 責任取らなきゃ…パパになるんだし…!!」その言葉に呆然としたロカの首筋にアバンの手刀が入る。 気絶したロカを抱き起こし、そのロカにも話していなかったお腹の子を言い当てられ頬を赤らめるレイラ。 そんなレイラに、子供がいると知っても意地を張ったでしょう……『おれは剣に生きる』『一生女の子なんか好きにならない』と強がる不器用なロカは、手がかかるでしょうがよろしくお願いしますと頭を下げ、 優しい名前をつけてあげて下さいね、と微笑んでアバンは決戦の地へと歩き出す。
不意にレイラの頭上から降って来る老師とマトリフ。
「新しい生命のために………あいつは自分の命を賭けるつもりなんだ ヘヘッどっちが不器用なんだかな」てめえだって十分ニブイくせによ。 アバンの後姿を見るマトリフの脳裏にはアバンを慕うフローラ女王の顔が……
なるべくアバンをくたばらせないようにしてやる
「女を泣かさねえのがオレの主義なんでな…!!」笑って大将(ブロキーナ)と共にアバンの後に続くマトリフ。見送るレイラの目からは涙がこぼれていた。
風が吹きすさぶ荒野。最後のパーティが野郎一人に老人2人とは運がない。 どうせ病気で長くない……ゴホゴホ またまた…(^^;) 一瞬でも魔王に隙を…出来るのは世界一の武道家あなただけ  ワシって有名? 世界有数の高名老人だろうね、などと軽口を叩き合う一同が、不意に真剣な顔になる。
真昼の荒野に現れたのは魔物軍団を引き連れたハドラー。
必殺剣(ストラッシュ)も刀殺法も完成していない今、平和を手に入れるのコレしかないっ!! 決意を秘めたアバンたちと魔物軍の闘いが始まった。 マトリフが広範囲呪文でザコを引き受け、ブロキーナ老師がハドラーに接近戦を挑む。 戦いに夢中になっていた魔王が不審を覚えたとき、あたりには日食の闇が広がっていた。
天空に輝く金環蝕の光の中で、アバンが“凍れる時間の秘法”を放つ。
光輪が魔王を包囲し、その体を押し包む。胴体から凍りゆく魔王の体。しかし、アバンの指先にも凍れる時がっ。 凍結が腕から肩へと進めど、呪文を中止しないアバン。その脳裏にレイラとロカ、フローラの顔が去来する。
荒野に陽光が戻ったとき魔王(ハドラー)も勇者(アバン)も瞬き一つせず、一年以上“時間”は止まったまま……つかの間の平和が訪れた。
昔話を終えた老師はマァムが修行を受けに来たとき程運命を感じた事は無かったと静かに言う。
「そう…その時に生まれた子がマァム…おまえなのだよ」
★直撃!!極大消滅呪文(メドローア)の巻
アバンの仲間なら秘法を知っていても不思議はないと納得するミストバーン。
“凍れる時間の秘法”をかけられたまま、どうやってか自分の意思で動けるミストバーンはいわばアストロンがかかったまま戦闘しているようなもの。即ち無敵。
「心配いらんポップ君…君がマトリフどのから受け継いだ呪文…あれだけは例外だ」目の前でアバン一人犠牲になった自分の無力を嘆いて編み出した呪文。 極大消滅呪文(メドローア)
枯葉は掴めば引きちぎれる、避けるだけが能ならラーハルトの方がまだマシ…ちぎれろ!道化!!!
襲い掛かるミストバーンの拳をすり抜け、老師の渾身の一撃が炸裂する。よろめくミストバーン。 ほんの一瞬だけで良い…! あの日の力よ蘇れっ!!! 今再び…! 次なる世代を救うためにっ…!!
 老師のラッシュを前に、おれたちは偉大な先輩達のお陰で生まれて来たんだ…ここで決められなくて何がアバンの使徒だっ!!  皆の期待を背負いメドローアでミストバーンを狙うポップ。そして老師が繰り出したのは
「武神流!土竜昇破拳!!!」拳圧で大地を操り、床を爆発させ敵を宙へ浮かすはずの技、 しかし不発。
薄笑いを浮かべるミストバーンの手にフルパワー状態が1分しかもたず年は取りたくないと息の上がった老師が囚われた。 メドローアを仕掛けようとしているポップに気づき老師を盾として掲げるミストバーン。 わしの命など長くない、全滅するよりはいいと言う老師にわかってます、と構えたままのポップ。ハッタリと断じるミストバーン。
「できるさ…! 今のおれにならできる!!」今度は勝ちとった平和を老師や先生にも味わってもらうと、 ポップはメドローアを放つ。 さらに瞬時にルーラ。メドローアを追い抜きミストバーンの眼前に現れたポップは老師の身柄を奪い返した。 さらに踏み台にする事でミストバーンの体勢を崩し、高々と飛び上がるポップ。
絶対にかわせんっ……!!「当たれエッ!! 消えちまええっ!!!!」
★戦慄と事実…!!!の巻
ミストバーンに迫る極大消滅呪文。皆が勝ったと確信した時、炎のような闘気をまとった掌がメドローアを弾き返した。 ポップと老師に光が迫り……消し飛ぶ壁と天井。
「老師……ポップ…!!」「消え…ちまった……!!!」
うなだれ好きにしろと諦める一同。「そういえば死神(キル)がああいうタイプはチームのムードメーカーになるから真っ先に倒すべきだ…とか言ってたな」 尊敬に値する、この私にフェニックスウィング(あらゆる呪文を弾き返す超高速の掌撃)まで使わせたと言うミストバーンの言葉に、 ついにヒュンケルはミストバーンの秘密に気づいた。
まだダイ様がいると言うラーハルトにダイがいくらパワーアップしようとも大魔王をバーンを殺す事は不可能と言い切るミストバーン。
「……それはそうだろう…!」その声はヒュンケル。ダイにバーンは殺せん なぜなら本物のバーンはおれたちの目の前にいる。
「そうっ…!! ミストバーン!!! おまえが本物の大魔王バーンだっ!!!!」
やはりその事実に最初に気づくのはお前だったかとミストバーン。 答えてヒュンケルは、素顔をさらした時から、声は若くとも口調や発音仕草戦法全てバーンと同じ。 2人の共通点を見抜かれぬためミストバーンは沈黙を強いられた。しかし影(ミスト)こそが…。
ヒュンケルの推理をほぼ正解と言うミストバーン。残りの謎解きは死んでからと掌圧を向けた時。
「せっかくそこまで言ったんだ 最後まで言わせてあげたまえ」
階段の踊り場の手すりに座るのはキルバーン。 「…ボクも聞きたいなあ…キミの正体……!!」
★影と死神(キル)の巻
アバンはどうしたと問うミストバーンに死んだと答え、向こうに落ちている腕を拾ってくれば良かったかな、と言うキルの言葉に、 マァムは耳を塞ぎ悲鳴を上げる。しかしミストバーンの関心は正体を聞きたいといったキルのたわけた言葉。 数百年間に数回……この姿で戦う度、真の意味を知れば、話せば互いに命はないと言い合って来た。
だが、忘れてもらっちゃ困るとキル
「このボクは大魔王に協力する義理はあっても義務は無い……ということを…!」
そうだった、全魔王軍で唯一別格。大魔王バーンと対等に近い立場にあると言い、初めてキルが現れた時の事を語るミストバーン。 トランプカードの姿でひらりと現れたキルは問う「…どちら様が…バーン様で…?」
余だと老バーン。大魔王もよく知っているあの方の使者、キルバーン(KILL VEARN=“バーンを殺せ”)との名乗りと特技が暗殺と聞いて、 破顔一笑。そんな物騒な死神を飼っておくのも一興と器の大きいところを見せるバーン。そのキルの図抜けた態度に感心し、対極の性格ながら 友誼を結んできたミストバーンとキル。大魔王の部下ではなく…本当の主の命令で協力してきたキル。 ミストバーンが本物の大魔王バーンなら、友情も協力関係も崩れる。
「違うのかね?」違うとミストバーン。 協力も間違いでは無いし、我々の仲も偽りではないと答える。
「じゃあ 今ここで…すべての秘密を語ってくれないかい? …ミストバーン…!」 不意にキルを攻撃するミストバーン。貴様は死神ではないッ! ミストバーンは死神(キル)が現れてから命名された幹部名。 ヤツはそれ以前の名……ミストと呼ぶのだ!!「偽者ッ!! 正体をあらわせッ!!!!」 ミストの掌底がキルの仮面の一部を破壊する。同時に揺らめくキルの姿。煙と共に現れたのは
「いやあ…失敗失敗……! 互いの呼び名とは初歩的なミスをしちゃいましたねえ」
「きっ…貴様はっ…!!! アバン!!!!」
ヒュンケルの謎解きの最中にかけつけ変身呪文(モシャス)でキルバーンの姿を借りて秘密を聞き出そうとしたと話しながら、 トレードマークの眼鏡をかけるアバン。キルはどうしたと問うミストに
「…私がここにいる以上答えは一つでしょう? 死んだのは…死神の方です!!」
★死を超えた決着戦の巻
……死神が勝利を確信し、あの方に対しては助ける義理はあっても義務はないっ、ボクはミストとは違う…と呟いた時 「聞きたいものだな…どこがどう違うのか…!」異空間でジャッジのメガンテ(自己犠牲呪文)で砕け散ったはずのアバンの声。 その源は床に落ちている切り落としたアバンの左手首!?  キルバーンが引っ掴めばそれは光る砂を詰めた手袋。
砂が輝き、ジャッジの破片と共に傷だらけのアバンがルーラで現れた!
砂はルラムーン草を原料にしたリリルーラ(集合呪文)の為の目印。 砂を仕込んだ手を切らせるよう仕向け、瞬間に手を引き抜き、 手袋だけ現実空間に戻したというアバンの種明かしを無言で聞いていたキルは、手袋を打ち捨て激昂する。
聞きたいのはチャチな手品の種ではなく、メガンテを食らっても生きていられる事だ。 分からない、紙一重の奇跡と答える一生に二度目もメガンテ食らった男アバン(一発目は当人)は、ジャッジの壊れたカマの柄を構える。
「海鳴閃!!!!」
その死にぞこないとは思えない速さ、全ての罠を出し尽くしたのに生きているアバンを、恐ろしいと感じるキルバーン。 アバンの槍術に追い詰められたキルバーンは自らの左腕を切り落とした。 心配無用手足や胴が斬れたって死なない身体だと言いながら、切り落とした左腕を頭上に投げ上げる。高速回転する腕。
腕一本あればとどめには充分。自分の身は傷つけない主義のボクにこれを使わせるなんて、さすが大魔王様が恐れた数少ない男……そしてキルバーンは頭上に熱線を放った。
バーニングクリメイション!!!!
大火球を掲げ、ボクの血は魔界のマグマと同じ成分……ひとたび炎がつけば灼熱地獄の劫火を生む、と語るキルバーン。 迎え撃つのはアバンストラッシュ。だが、この一発には太刀打ちできるはずがないと自信みなぎるキルに
「…よく言う! 生まれて初めて真剣勝負をするような男がっ…!!」 アバンの言葉に侮辱は許さんと激昂して技を放つキル。火球に飛び込むアバン。自殺行為だと言い
「…美しい 美しいよ!! キミの最期に火葬(クリメイション)を選んで正解だった」 そう勝ち誇るキルの笑い声が止まる。まっ…まさっ…かァッ!!!
「…やはり やりなれない事はするものではなかったな!!  さらばだ死神!!」炎を纏ったアバンの技が炸裂した
アバンストラッシュ!!!!!
★裁き(ジャッジ)は下った…!の巻
なぜ、バーニングクリメイションに耐えられる? アバンストラッシュに倒れ行くキルバーンが目にしたのはアバンを包む煙に浮かぶハドラーの影。
ハドラーの灰が残っていた、消えゆくハドラーに感謝の笑みを向けるアバン。 あのハドラーがこんな奇跡を起こしてまで私を助けた。よほどお前のしてきた事が腹に据えかねたようだ。
奇跡なんてわけの分からないものでやられてたまるか、ハドラー君の身体は魔炎気を発する超魔法生物細胞、灰となり残って若干高熱を遮っただけ、 そう語るキルバーンの身体が火を吹いた。ストラッシュがまとった劫火がマグマに引火したのだ。使い魔の一つ目ピエロのピロロが駆けつけ氷系呪文を唱えるも効果がない。 もう悪い事はしないよう頼むからと哀願するピロロに応え、シルバーフェザーで炎を消すアバン。
「…アバン君にお礼をしなけりゃいけない……」背を向けるアバンの背後で、ピロロの指が光りキルバーンの頭飾りに再び装填される見えない刃。
結構だ、悪いが100%信用していない、お前ほど非道で美点の見つからない敵には出会ったことがない。 そう断るアバンの回りに受け取ってくれたまえと放たれる13本のファントムレイザー。しかしアバンは動じず、一つ罠を仕掛けたと告げ、 せっかく拾った生命を失いたくなかったらその場を動かない事だと忠告する。
「このボクに逆に罠だとっ……!!? 笑わせるなぁあッ!!!!」
キルバーンの首が飛んだ。
ファ…ントム…レイザー…なぜ…こんな位置に!!? それは異空間でアバンの身体に刺さった一本。助けた時にアバンが仕掛けたもの。 ふ…不覚…!!! 落ちた首と胴に復活の粉をかけるピロロ…ダメだ もう……直らないっ…
「いかに不死身でも首がちぎれて生きていられる生物はいない 敗者は首をはねられる………か ………残酷だが…彼が決めたルールの通りだ……!」

あの死神(キル)が敗れたッ 話を信じかねるミストに、あえて生命を取ることはしなかったが小さな使い魔ではもうどうしようもない死神キルバーンは死んだと、アバン。 そしてモシャス時の会話でミストバーンの正体も読めました
「同時に…大魔王バーン最大の秘密もっ……!!!」
その時、勇者ダイとレオナ姫は、黒く渦巻く異常な雲を見上げていた。


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